ペンギン・ハイウェイ/ 森見登美彦

森見登美彦は何冊か読んでるけど、京都の街を徘徊しないやつは初めて読んだ。これすごく面白い。読書好きの友人が、奥様にどうぞと勧めてくれたのだけど今別のを読んでるので先に手を出してしまった。ありがとう、素敵な本でした

主人公は小学四年生生の男の子。冒頭から引き込まれる。

「ぼくはたいへん頭が良く、しかも努力をおこたらずな勉強するのである。だから、将来はきっとえらい人間になるだろう」もう完全に変な小学生である。その後も一貫して変な小学生っぷりが展開されていくのだけど、これが高校生か大学生ならもっと嫌味っぽいんだけど(といいつつ他の森見登美彦作品にはそんな人ばっかり出てるなと思い返す)小学生であることで幾分中和されてる。小学生の娘がいる僕からすると、もうなんだか可愛らしいのである。ああ、娘もこんなこと言うのかなあとかね。

小学生の興味や世界の見え方や物事の捉え方が展開の軸になっていて、なんとなくファンタジーにあふれて夏休みの課題図書みたいな雰囲気もあるんだけど、いかんせん大人の立場の目線でその小学生を見てるからたぶん小学生には共感し辛いのはあると思う。大人び過ぎてるというのかな。


男の子と不思議なクラスメイトの話かと思っていたら、途中でギヤが入って話が一段階違うところに連れて行かれる。綺麗な歯科助手のお姉さんのおっぱいの話をしてたかと思うと宇宙やワームホールの話に広がって、話が急に展開して別の物語になっていく。後半、残り1/4位から一気に加速してガンガン進んでいく。エウレカ!なんだこれすごいな。

ちょうどこないだ久しぶりにみたムジカピッコリーノで鈴木慶一が「そうかそうか!ユリイカ!」って言ってたところだ。娘も「ユリイカって、サカナクションユリイカと同じこと?どういう意味?」なんて聞いてきたところだ。


最近読んでた本は、パラレルな物語がなんとなく収束して伏線を綺麗に回収していく系のが多かったけど、こんな感じで加速して違う展開になっちゃうってのは楽しかったなあ。うむ。


来週には娘ちゃんも夏休み。共働きでこの本みたいに夏休みの冒険譚みたいなことにならないのは申し訳ないなーと思う。子供の夏休みって、やっぱり特別やもんね