夜の国のクーパー/ 伊坂幸太郎

先週、連休始まる前に連休中に読もうかと思って少し厚めの文庫を購入。特に前知識もなく、どうせ伊坂幸太郎なんだからGWにエンタメとして読むのに何の不足もないと思ってとりあえず新刊っぽかったので購入。買った帰りの電車で早速2割くらい読んでしまってこれでいいのかと不安にすらなる。面白い。相変わらず書き出しでぐいっと引き込まれて、今まで見たこと無い展開で、そしてやっぱり仙台が出てくる。これですら仙台の話になるのか。

夜の国のクーパー

夜の国のクーパー

ちなみにAmazonで開いてみると、単行本1,728円、文庫が842円でKindleで600円。すばらしい価格差だなあ。こないだ電車でKindleで本読んでる人みたけど、あれいいサイズだよねえ。paperwhiteが無料3G付きで12,480円。こんなの買っちゃうとガンガン本買いそうで怖いわ。ページをめくる、左手に残る厚みで物語を楽しむ、あの感じが無いのは電子書籍全般の残念なところだけど、でも場所とらなくていいのはいいよなー

もとい。話の内容も書いて行くけど、クーパーと呼ばれる杉の木の怪物を倒しに、どこか知らない、日本でもなくどこかわかりやすい外国でもない国から兵士が選ばれて壁に囲まれた街を後にして行くというファンタジー満載っぽい感じの書き出しがちょっと意外で、しかも話の語り部が猫で、物語の主軸にいるくせに人間からは街を猫が歩いてたり家に猫が入って来てても「なんだ、猫か」と特に相手にされてない感じの第三者視点が斬新。猫、なかなかに聡明なんだけど自分でもコントロールできない衝動や太古からの指令みたいのがちょくちょく出て来てそれがたまらない。

そう、その猫の描写がとにかく良い。猫飼ったことないけど「ああ、あるある」と思ってしまう。そしてその猫の「わかってはいても止められない」とか「自分の意志とは無関係に」とか「ああ、そういえばそうだっけ」みたいのが最近のうちの子供に被って苦笑い。「前に言ったやろ」だの「これ、ご飯までにやるんじゃなかったの?」とかとにかくそういうのを何度言ってても何も変わらず、まあ僕もそんなもんだったから真剣におこったり悩んだりしてるというより苦笑いしながらみてるんだけど、猫に代弁されてりゃそりゃしょうがないと思ってしまう。猫すごいなあ。


途中から歯車が噛み合うみたいにカチリと音を立てて物語が進んで行くあたりも伊坂幸太郎っぽい。伏線もきっちり回収して、なるほどなーと思ったあたりからもう2段階話が進んで行く。最後のオチは少し強引すぎて「えー、そんなことになるんかー」と思ったけどまあそれはそんなもんか。意外なところからパンチが飛んでくる。そして結果面白い。

キャンプ場で朝起きて読んだり、芝生でビール飲みながら読んだり、改めて休みにちゃんと本を読んでみると楽しい。ああ、いいなあ。勧められたままためてる本もそろそろ手を付けよう。しかし、Kindleって6インチで200gってすごいなー。iPhone6は4.7インチで129G、iPad miniは7.9インチで331g。ふむ。気になるわー。