アニメを仕事に!トリガー流アニメ制作進行読本/ 桝本和也
ここ半年食い入るように見てたアニメ「キルラキル」の制作会社、トリガーの中の人が書いた本ということでタイミング良くリリースされてたので特に中身の前知識もなくAmazonで買ってみた。新書ともはいえそんなにややこしい内容でもなく2時間くらいでざっと読み終えたのだけどこれはいいなあ。会社で仕事に思い悩んでる後輩の男子ディレクター27歳に読ませてやりたい。いや、明日こっそりデスクに置いておこう。アニメは全然見ないって言ってたけどさ。
アニメを仕事に! トリガー流アニメ制作進行読本 (星海社新書)
- 作者: 舛本和也
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2014/05/23
- メディア: 新書
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アニメ制作の「制作進行」という比較的スポットの当たりにくい、でも全体を動かす重要なポジションの仕事についての説明。かつ新人への教育も力を入れてるという著者の仕事紹介を新人へのテキストブック的な形式で書いてあるのだけどこれが業種こそ違えど完全にWebディレクターと近い役割で、自分では直接表に出てくる何かを作り出すわけではないけれど(絵を書いたりアニメーションをつけたりとかね)全体を束ねたりとかスケジュール管理したりとかとまさにそんな感じの話。いや、これニッチすぎるよな、、、
進行管理の仕事を「実務(表面上の仕事)」と「暗黙の実務(目には見えない重要な仕事)」に分けて工程ごとに順に説明していて、冒頭で示されてるそのことに妙に掴まれてしまってそのままグイグイと読み込んで行く。そうそう、表に見えるタスクはあくまでタスクで実際には裏に潜んでる大きなベースみたいなものが大切で、自分を振り返ってみてみても、その部分はなんとかうまくやれてるよなーと思うのです。いや、転職して半年、こなすべきタスクや会社の売り上げやそんなことよりもその暗黙の実務を以下に素早く埋めていくかに腐心してたけど、それはやっぱりしかるべきタイミングで結果になっていくからなあ。うむ。といってもたいしたことはしてなくて、雑談とか子供の話とか打ち合わせの合間のポカンと空いた3分くらいの間に「そういえばこないだこんなことがあって」と話題を提供したりするようなことで、子供とかマンション買ったとかの話は「腹据えて仕事せなあかん」と言うことが暗黙に伝わるのでまあまあボディブローになる。
で、話は戻るけど、アニメに関わる仕事、といろいろな職種をあげた後で「絶対に絵が描ける技術が必要」としてるのは40のうち9くらい。そう、だからこそ絵心のない僕が10年近くWeb屋で食っていけてるんだよなあとほぼ読みながら自分の話に置き換えてスーッと理解が進んでいく。シンプルである。
実務の紹介はアニメの話だけど、暗黙の実務の紹介は進行管理的なことを仕事にしてる全員に当てはまることで、なぜそれをしないといけないか、それが後でどういう効果(又はトラブル)を引き起こすのかということがきちんと書かれていて、ああ、そうそう、と。最近テンション低めでのんびり仕事してたのだけど、そうだ、まだまだ頑張らなきゃなーと改めて思い返したのであります。
なんだかよくわからないけど、僕は個人的にとても楽しかった。だからと言ってこれを読んで楽しいと思う人がそんなに多いとも思わないんだけど、いや、でも家庭の段取りをしてる主婦の人なんかは意外と面白いのかもなと思ったり。家族だからとおざなりになったり後回しにしたりするコミュニケーションや相互理解みたいなものも、ヒアリングして、コーチングして、状況や表情をみながらできることってあるもんな。いや、それを言い出したら誰しもが自分の人生や友人関係のディレクションしてるわけなので仕事と切り離して読んでみたら意外としっくりくるのかな。うむ。
と言うことでさらっと読めてなかなか面白かった。がっちり役立つビジネス書でもなけりゃ、トリガーの制作の裏側がいろいろ見えるってほどのことでもないのだけどよかったです。