ヒュウガ ウイルス -5分後の世界II- / 村上龍

けっこうあっさりと読了。前作「5分後の世界」の続編で、でもそのまま続きなのではなくて同じ設定の世界の中の出来事、というのが面白かった。が、自分の中ではどうもしっくりこなかった。特に終盤のしりすぼみ感というのかな。

決して面白くなかったのではなくて、UGの世界観や、そこで語られる物語が前作を前提として書かれてるので前作ほどの説明くささもなく、謎解きみたいな読み方をするでもなくささっと進んでいく。でもなんというかさらっと読めすぎてそのまま終わってしまったというか、ヘリポートで群衆に囲まれたり、UGの人の日常が書かれてるところはけっこう引き込まれて読んだんだけど最後がイマイチだったなあ。

ウイルスそのものとの闘いでもなくどうも消化不良。エピローグの手紙の内容は確かに意外な展開で驚いたりしたけれど、あれかな、自分が単純に勧善懲悪的なヒーローとしてのUG兵士を求めてたから勝手にがっかりしてるだけなのかもしれないけれど、結局結末やウイルスとの闘いがフワッとしたまま終わってなんかスッキリしない。そう思うとクドカンだか三谷幸喜だかがいってた、最終的に見終わってスッキリすればそれでいい、というのはエンターテイメントとしては必須要素だなあ。文学はエンターテイメントか、というそもそもの話になるのかもしれないけども。

結局圧倒的な危機感をエネルギーに替えて来た人だけがウイルスに勝てる、というところで終わって、それは間接的にUGの人たちは多分闘いに勝てるだろうから世界中にウイルスが広まってしばらくしてUGは勝利しました、というようなことなんだろうか。エイリアンでエイリアンが死なないまま映画終わったみたいな感じだものなあ。んー。

ま、いいか。