歌舞伎町のミッドナイト・フットボール/ 菊地成孔

iPhoneの変換予測で、ちゃんと「菊地成孔」が出てくるってすごいな。いやはや。

結構時間かかりましたが無事に読了。思いの外、というか思っていたよりよっぽど面白かった。とても、菊地成孔らしい感じがする文章で、嫌みで、キザで、博学だけど鼻にかかってめんどくさい。なんだお前みたいやないかという声も聞こえるけどそれは軽くスルーするよ。菊地成孔本人や、あれの音楽が好きな人は読んでみるととても面白いし、そうでない人にとっては二度とDCPRGなんて聞いてやるかと思うような本です。敵多いだろうなあこの人w

内容はというといろんなところに「書き散らした」何年か分の文章をまとめてリライトして、それに対して個々に解説をつけるという内容で、その解説が本文の前にあるから読むに当たっての心構えなどしながら菊地成孔と向かい合う。この本を読んでる間、どれだけDCPRGやその他の楽曲を聞いたかわからないけれど。

気になった文章をいくつかピックアップ。これを読んだだけで「なんて嫌なやつだろう」という感想を抱くのが多分普通だろうなあ。実際、面白いけどとても感じが悪い。はは。

そういう意味でフリッパーズは、青年からデビューと言うことすらはばかられるほどの強烈なアンファンテリブル性があって、しかもアイドル業界ではないので、一つテストケースなわけだ。長期にわたって成長を見せる。という芸の。

最も多く僕のためにジャズのレコードをプレイした機材は、JBLのスピーカーでもサンスイのアンプでもなくて、ソニーウォークマンだったんですよ。

彼女がホストのような滑舌の良い快活さで「皆様、食べられない食材は何か御座いますか?」と聞いてメモしてゆきます。(略) 僕は彼等、彼女等へのサーヴィスの為に「アメリカンフレンチみたいなメニューだったらオニョンのクリュは使わないでくれ。フロマージュはフォーブルが駄目ね。あとアスペルジュをポタージュに使っていたら僕はそれは要らない。どうせロクなのがないから(微笑)」という事にしてます(言うだけでなく、「どうせロクな〜」の部分で掌をひらひらさせたりします)。

数多ある音楽の中で、ジャズだけが「モダン」を名乗った。この責任は重大で、モダンを名乗ったからにはポストモダンによって落とし前をつけなければならない。


いや、でもおもろかったよ。なるほど、思ってた通りの人だなあと。裏切られたりもしたけれど。結局デートコースみたのなんて、マザーホールで赤犬とツーマンやってたあの時だけだ。でもまたみに行きたいなあ。ジャズのライブでもいい。いや、むしろそっちがいいな。

表紙の写真がアラーキーだと最後に書いてあって、確かに青が綺麗だなあと思ってたので納得。いきってるけど、影があって、表向きセクシャルな感じにしてるけどとても熱い感じ。やっぱり僕はうるさいジャズが好きだなあと思いましたよ。


という事で、菊地成孔の音楽好きな人にはオススメ。知らないけどちょっと読んでみようという人はやめといた方がいい。うん。