Web屋のデザインとグラフィック屋のデザインについて
仕事してて、よくぶつかる問題。また機会があったので何と無く書き留めておく。Webのデザインラフを作って客先確認してて、何度かやり直したり数案作ったりみたいなことを繰り返してると必ず何処かでぶち当たる「Web屋のデザインよりグラフィック屋のデザインの方がいいよね」というやつ。永遠のテーマ。Web屋になって9年半、何度この話になったことか。
だいたい出て来る言葉はこんな感じになる
- Web屋
- 画面のサイズとか、検証端末とか考慮してないですよね?
- これ、IEだとできないですよ
- 操作性とかシステム入れることも考慮したレイアウトです
- (そりゃきれいはきれいだけど、コーディングくそじゃねえか)
- グラフィック屋
- Web屋はデザイン下手
- 細かい部分の作り込みが適当だね
- コーディング?きれいに見えることが優先だろ
- Webディレクター(僕
- グラフィック屋に主導権取られたら面倒だなー
- Web屋のデザインは真面目だよなー、でもわかるよなー
- グラフィック屋のデザイン、使いにくそうだなー。でも得意先気に入ってるよなー
- 営業
- なんだこのWeb屋のデザイン、やる気あんの?
- コーディング?適当にやっててよ(わからんし
- グラフィックの人は理解が高いなー
- クライアント
- 雑誌みたいなレイアウトで
- もっとこう、ドバーンと。あ、ここ縦書きで
- もっとかっこ良くできないの?コーディング?ちゃんとうまいことやっといてよ
てな感じかなぁ。大雑把に書くと。もちろんそうじゃない会社も多いし、そうじゃないクライアントも多い。でもだいたいこんな感じ。グラフィックの人はWeb屋を下に見てるし、Web屋の人は仕様や対象環境を盾に弁護しがち。まあ、仕方ない。そして何よりコーディングはかなり低く見られていてそんなことでは面白いWebはなかなか世に出て来ない。仕方のないことだ。
とはいえ実際に環境ごとに見え方も違うしページの範囲も画面サイズで異なるし、そういうことを考慮して作らなきゃいけないというハードルはあるのも事実で、それが違えば丸ごと違うものに見えてくるから致し方ない。なんかうまいこといかんもんかな。著名なデザイン会社とか海外の話とかで見るのは、グラフィックやってた人がコーディングを別の人に任せてバランス取るとか、協議しつつも分業とかのパターンが多くて、その辺の落とし所はどこにあるのかと思うけれど。
まあ、いろんな要因はあるけれど、Webは歴史が浅いのと単価が低いのが問題のような気がしてて、いまは違うのかもしれないけれどグラフィックみたいに大学で系統立ててデッサンの基礎がある人が1から基礎をやって、みたいな人は少ない気がするし、それを学んだところで新しい環境や言語がどんどん出てくるから5年前にはなかったこととかガンガンやらなきゃならない。もちろんグラフィックの人も常に勉強してるし友達のFacebook見てても好奇心強いしすごいなと思うけど、グラフィックが端末対応とかブラウザのバグ対応付き合わなくてもいいってのは確かにあるよなと思う。そこの時間の差。
でも、根本的に違うのはアートディレクターの存在とか業界の歴史の問題で、Webの、そのなかでもデザインだけで20年食ってる人ってなかなかお目にかかることがなくて、10年くらいの中堅処はお見かけすることは良くあるけれど、それでも30年のベテランが現場仕切ってるデザイン会社に比べればアウトプットが違ったりするからな。何をどう作るべきか、みたいなこととを判断したり相談したりする絶対的な存在や自分がこれから進んでいく道のロールモデルみたいなものが足りないのかなと思ったり。代理店にはそれがいたとしても、同じ社内でベテランのアートディレクターがいないときついよなーとおもう。
そして、それは制作や賃金の単価とも関係してて、なんだかよくわからない根拠で価格は下がっていくし、賃金が上がらなければ長く同じところで働こうと思わないし、それなら1人でやった方がってなるよね。そりゃそうだ。パソコンがあれば誰でもやれるから大きな会社でステップアップするよりも独立して人集めてコンパクトにやる方が足回りがいいのもわかる。
媒体費のいくらかが制作費にまわるだけでも違うんだろうなと思うけどそんなこと簡単に起こるわけでもないし、細かいことを語るには営業と担当者が技術の知識がないから1番シンプルなところで落ち着いていく。もちろん、じゃあWeb屋にまかせりゃうまくいくのかというとそんなこともないので難しい。なんだろなー。そこで「知識と経験とコネクションの多々あるWebディレクターの出番ですよ!」となればいいけどそこは政治力みたいなもんでまだまだ遠い。本当に素晴らしいクリエイティブとはいったいなんなんだろうか。結論出ないまま今夜も自問自答である。
長くなったけどおしまい。