「選挙フェス」17万人を動かした新しい選挙のかたち/ 三宅洋平

去年夏の参院選緑の党から比例立候補していたミュージシャン三宅洋平の選挙について振り返った本。少し前に買ったまま積んであったのでようやく紐解いて見た。バンド犬式のボーカルで、ライブも何度か見たことあるしかっこいいんだけど、Twitterはツイート数がそれなりに多くてかつ政治寄り過ぎて何と無く追わなくなった。その辺の流れを見てたので立候補自体に特に違和感はなかったな。

主な主張としては反原発や反TPPなどの左翼論壇とそんなに大きく変わらないんだけど、同い年ということもあって気になって結構情報追いかけてた。難波の「選挙フェス」も見に行った。政治をマツリゴトに、というフレーズや、政治的な細かいことについて俺はわからないからみんなで一緒に勉強して行こうよというスタンスは政治を「委託する」と思うと流石にこいつには任せられないなーと思うけど、実のところ自分が投票だけじゃなくて政治の主体として動いたり考えたり小さなことから手を動かさなきゃいけないんだと思うとその考え方は確かにその通りで三宅洋平はただ旗を掲げて先頭の矢面に立とうとしただけで、実際には自分たち自身が問われてるんだなーと選挙の時に思った。

本人が語る過去の自分のエピソードや考え方なんかも、同世代だからわかるよそれ、みたいなところも多いし、かといって身近にいたら仲良くなってないだろうなみたいなところもあり、なかなか扱いが難しい。フジロックに出た時に出演時間を大幅に押したというくだりがあったけど、ちょうどその時横を通ったけど雨の中疲れて通り過ぎちゃったこととか、それで煽りを食った直後に出番のバンドが友達のバンドだったりとか、「あいつはロックでいいよな!」みたいには特に思わない。うむ。


結果は17万票と比例でかなりの表を集めつつも党としての割合が低いので落選。なんだよその仕組みはよ、とも思うし、それはそれでまともな仕組みだなとも思う。選挙制度ってずる賢くも安全にできてるんだろうな。

三宅洋平本人の言葉や、選挙の裏側を支えてた人や、そしてそれを少し距離を置いて眺めてたライターの言葉で構成される本。なるほど、選挙って大変だなあというのも思った。都知事選の時の家入和真の時も思ったけど、ああいう政治畑出身じゃない型破りな同世代はこれからも増えていくだろうから楽しみだな。

いずれにしても、政治について一言だけ言うならば、僕ら団塊ジュニア世代が結婚や出産の適齢期的なやつを通り過ぎるのはもうすぐ。少子高齢化や移民政策もちゃっちゃと決めて動かないと危ないと思うんだけどね。結局いろいろ期待できないままである。さてさて。