おおかみこどもの雨と雪/ 細田守(ネタバレ含む)

見てきました、ようやく。僕に取って細田映画は(って、前のサマーウォーズからだからそんなに大層な事でもないけど)夏に見ておくべき映画として君臨してて、いや、冬にやるかもしれないけれど、きちんと映画館でその時に見ておきたいなと思う映画です。サマーウォーズも、夏のにおいの残る間にちゃんと見れてよかった。


以下、ネタバレ含めて感想をざっと。


昨日のヒザフェスの会場でフードに並んでたら「おおかみこども、行く?」「あー、行きたいけどどうだろうね」「だねー、金曜ロードショーでもいいか」みたいなつまらない会話が聞こえてきてて、まあ、何処かでそれは判断する事だよねーと思ったし、今日見終えてから出て行く人の流れの中で「面白かったねー、でも家で見てもよかったかもねー」なんて会話も聞こえてた。でもなんというか、オオカミが走り抜けるあの疾走感と、後は何より高木正勝の音楽を映画館の音響でちゃんと楽しむというのはけっこう意義のある楽しみ方だと僕は思う。トロンが内容的にどうというのはあっても、3D映像とダフトパンクの音楽を楽しむもので、アバターなんて内容はポカホンタスだけど3D映像を楽しむものだった、みたいなものでね。もちろんそれ以外にも楽しいポイントは多かったけどさ。


だいたいの筋は聞いてたり、考察記事みたいのをちらっと見てたけど、とにかく全編(の半分位を)泣きながら見てました。娘と2人で見に行ったのもあれだったかなあ(「おおかみこども見たい!!」と押し切られた。娘とのデートは嫌いじゃない)。横にいるこの子が産まれてきた時の事や、大食いでおせっかいで周りに気を遣う姉ちゃんと、気ままでのんびりと自分の道を進んでる弟とか、どっかで聞いた事のあるような組み合わせがあまりにもしっくり来て、親の気持ちとか考えながらどっぷりとハマってみていた。


「ハナって、どういう意味の名前?」ってところでいきなりグッと来て、子供がいつか自分の名前の意味を他人に説明する時、どんな風な顔して言うんだろうとか名前を付けた身としてはすごくビビりながらみてたり(娘の顔を覗き込んだのは内緒)、地方から出てきた女の子がバイトしながら学食でも一人で食べて学校通ってるのとか、なんかわかるなあと思ったり、なんだろう、そういう「子育てネタ」みたいなところにはいちいちぐっときてたなあ、なんて。

あとはあれだ、「これは平成のトトロだ!」みたいに書いてる記事も見たけどそれは言い過ぎかなと思うし、でもまあ随所に宮崎アニメへのオマージュみたいなものは感じたなーと思いました。トトロや、もののけ姫ぽいシーンはいくつもあったし、いや、日本の自然を描こうとするとそうなるのかもしれないし、でも僕は自然の美しさよりも人の面白さとかつまらなさというか、子育てセンターの人がネグレクトじゃないですかと訪問してくるのとか、まあ確かにそうなるよなあなんて思ったりしてね。

おおかみの子じゃないとしても、学生ででき婚してそれが田舎に越してくるとか普通にはうけいれられんよなあと思うし、韮崎のおじいちゃんにしてもそんなに簡単に受け入れてくれるなんてのは不思議だなあと思ったりして。秋田の無医村の話しとか見てても、多分田舎ってもっと排他的で過ごしにくいんだろうなと思うしなあ。僕はどうせメンタルが弱くて逃げ出す方だろうからなあ。


泣き虫だった雨が11歳くらいで正義感で突き動かされる様とか、おてんばで笑顔を振りまいてた雪が制服来てりっぱなお姉さんになってるのとか、他人の子供の事とはいえ心配しながら見守ったりしててね。

「映画みたいな話し」なんてのはそうそうないんだけど(あってたまるか)個々のトピックや個別のシーンみたいなのはとてもうんうんと染み入るところがおおくて、全体としてはとてもリアルな物語だったなあと思います。水の描き方がきれいだったな。後やっぱり音楽が好きだったな。


7月からやってるのでもう終わってしまうかもしれないし、どうぞ今のうちに。